このページでは、2021/10モデルのZN8型GR86[RC]が装着している205/55R16の純正タイヤを例として、タイヤサイズ変更シミュレーション表の見かたについて記載しています。

ZN8型 GR86
2.4L|235PS/25.5kgm|FR/6MT
[RC]
前輪:205/55R16
後輪:205/55R16

さて、常識的に考えれば外径の変化が小さい現実的なタイヤサイズを例とするべきなのですが、そうしますとさして代わり映えのしない数値を、いかにも重大な真実であるかのように語るという格好の悪いことになってしまいます。

そこで今回は純正比でタイヤ幅-20mm、扁平率-15%の極端に小さくなる185/40R16(外径554mm)と、タイヤ幅+30mm、扁平率+15%の極端に大きくなる235/70R16(外径735mm)のデータを用意することで、針小棒大にせずとも話が進むようにしてみました。

項目の説明と計算式

タイヤ
サイズ
タイヤ
外径
40km/h
実速度
100キロ
回転数
6速ギヤ
最高速
1速ギヤ
最高速
タイヤ
駆動力
最小
TWR
距離計
表示
185/40R16
-20mm
-15%
554mm
(-78)
35.1kmh
(-4.9)
3010
(+370)
232
(-33)
49
(-7)
1369
(+169)
0.92
(-0.13)
684
(+84)
[13.7]
誤差-12.3% 車検△
205/55R16
純正サイズ
632
mm
40.0
km/h
2640
rpm
265
km/h
56
km/h
1200
kgm
1.05
kg/kgm
600.0
km
[12.0]
235/70R16
+30mm
+15%
735mm
(+103)
46.5kmh
(+6.5)
2270
(-370)
308
(+43)
65
(+9)
1032
(-168)
1.22
(+0.17)
516
(-84)
[10.3]
誤差+16.3% 車検×

タイヤサイズと外径

205/55R16の外径
205mm×55%×2+16in×25.4632mm
185/40R16の外径
185mm×40%×2+16in×25.4554mm
[-78mm]
235/70R16の外径
235mm×70%×2+16in×25.4735mm
[+103mm]

純正サイズの205/55R16のうち、205はタイヤ幅、55は扁平率、16はホイールのインチ数を表すもので、タイヤ幅205mmに扁平率55%を掛けることでタイヤの高さを知ることができます。

次にホイールのインチ数は16インチですので、これに25.4mmを掛けることでタイヤの内径が406mmであるとわかり、さきほどのタイヤの高さを2倍したものを足せばタイヤの外径が632mmであることがわかります。

同様に計算すると185/40R16の外径は554mmで純正サイズとの差は-78mm、235/70R16の外径は735mmで純正サイズとの差は+103mmになり、この外径の差がスピードメーターやエンジン回転数、走行距離計の誤差を生じさせることになります。


40km/h実速度

純正タイヤサイズであっても製品によって多少の外径差はあるものですし、またスピードメーターそのものにも大なり小なり誤差があるものなのですが、それを言い出すとキリがありませんので、ここからはかつて物理の試験で見たような「ただし摩擦はないものとする」的なノリで話を進めます。

205/55R16の実速度
1.99m×336rpm×60min40.0
km/h
185/40R16の場合
1.74m×336rpm×60min35.1
km/h
235/70R16の場合
2.31m×336rpm×60min46.5
km/h

さて、タイヤ外径632mm、円周長1.99mの純正タイヤを装着したGR86が40km/hにて走行するとき、スピードメーターは一切の誤差なく40km/hを示しており、タイヤは1時間に20147回転しているものとします。

この完璧な精度を有した車に、外径554mm、円周長1.74mの185/40R16という小さなタイヤを装着しますと、20147回転では35.1kmしか進むことができないにも関わらず、スピードメーターは自信を持って40km/hであると主張します。

逆に外径735mm、円周長2.31mの235/70R16という大きなタイヤを装着しますと、20147回転では46.5kmも進んでしまうにも関わらず、やはりスピードメーターは40km/hを示します。

「そんな多少の誤差で大げさな…」と思いたくなるところですが、この誤差を生じたままメーター読み80km/hで走行すれば185/40R16なら実際の速度は70.2km/h、120kmなら実際の速度は105.3km/hしか出てない、ということになります。

235/70R16の大きいタイヤとなると話はちょっと複雑で、自分ではメーター読み80km/hで走行しているつもりでも実際は93.0km/h、120km/hでは139.5km/hも出ているという、安全運転的にもお財布的にも心配になるような事態が発生してしまいます。


100km/h回転数

たとえば純正タイヤを装着したGR86が高速道路を6速ギヤで100km/h巡航しているとき、エンジンの回転数が2640rpmであったとします。

205/55R16の100km/h回転数
100/60/0.00199×0.767×4.1002640
rpm
185/40R16の場合
100/60/0.00174×0.767×4.1003010
rpm
235/70R16の場合
100/60/0.00231×0.767×4.1002270
rpm

このとき、2640rpmのエンジン回転数は6速ギヤ(ギヤ比0.767)により増速されて3442rpmまで上がり、ファイナルギヤ(ギヤ比4.100)により減速されて840rpmまで下がるわけですが、この840rpmがタイヤの回転数になります。

で、例によって精巧極まるスピードメーターは「外径632mmのタイヤが840rpmだから100km/hで間違いないぞ。正確だぞ」と表示してくれるわけですが、やはり先ほどと同じく外径が変化することでスピードメーターと実際の速度の間で誤差が生じますので、実際に100km/hで走行しているときのエンジン回転数も変わってきます。

つまるところ、先ほどの40km/h実速度と同じことを別の言い方で言っているだけなのですが、185/40R16の小さなタイヤでは純正サイズ比+370rpmの3010rpmのとき100km/hになり、235/70R16の大きなタイヤでは純正サイズ比-370rpmの2270rpmのとき100km/hで走行していることになります。


1速ギヤ最高速&6速ギヤ最高速

続きまして、上の項目で使ったタイヤ外径とギヤ比に、GR86に搭載されたFA24型エンジンの最高出力が発生する7000rpmという要素を加えて、7000rpm時点での速度と誤差について見てみます。(便宜上この速度を最高速度とします)

205/55R16の1速ギヤ最高速
7000/3.626/4.100×0.00199×6056.1
km/h
185/40R16の場合
7000/3.626/4.100×0.00174×6049.2
km/h
235/70R16の場合
7000/3.626/4.100×0.00231×6065.3
km/h

エンジンの7000rpmは1速ギヤ(3.626)によって1931rpmまで減速され、次にファイナルギヤ(4.100)によって471rpmまで減速されます。これがタイヤの回転数となり、外径632mmのタイヤが1分間に471rpm、距離にして935m/min、時速にすると56.1km/hであることがわかります。

スピードメーターは471rpmという回転数をもとに、絶対的な正義として速度を表示するわけですから、やはりタイヤ交換によって外径が変化すると7000rpmでの速度も変わってきます。

例によって185/40R16の小さなタイヤでは471rpmで820m進み(純正比-115m)、時速では49.2km/hとなり、スピードメーターは56.1km/hを示していても実際は49.2km/h(純正比-6.9km/h)しか出ていない、ということになります。

235/70R16の大きなタイヤでは471rpmで1088m進み(純正比+153m)、時速では65.3km/hとなり、スピードメーターは56.1km/hを示していても実際は65.3km/h(純正比+9.2km/h)も出ている、ということになってしまいます。


タイヤ駆動力と最小トルクウェイトレシオ

これはもはや数字を使ったお遊びの域なのですが、FA24型エンジンの最大トルク25.5kgmと、例として1速ギヤ比3.626、ファイナルギヤ比4.100、さらに205/55R16タイヤの半径0.316mを使うことで、タイヤ接地面が路面を蹴ろうとするときの瞬間的な力の総和を知ることができます。

たとえば205/55R16の場合、車両重量1260kgを1200kgmで割ったトルクウェイトレシオは1.05kg/kgm、小さな185/40R16では駆動力1369kgmでTWRは0.92kg/kgm、大きな235/70R16では駆動力1032kgmでTWRは1.22kg/kgmとなり、「ああやっぱりタイヤが小さいと加速が良さそうだね」というだけの…


走行距離計の表示と満タン法での燃費誤差

「 く ど い ! 」という声が聞こえる気もしますが、純正サイズの205/55R16のときメーター表示に一切の誤差がないとした場合、また12.0km/Lというカタログ通りの燃費で走行できたとした場合、さらに50Lの燃料タンクに注がれた燃料を最後の一滴まで使った場合、その走行距離は600.0kmになります。

この600.0kmという距離は外径632mm、円周長1.99mのタイヤが回転を繰り返し繰り返し、ついに302202回転した結果ようやく到達する距離で、この回転数をもって走行距離計は「600.0km走行した!」と断言するわけです。

例によって185/40R16の小さなタイヤを装着し、同じように302202回転するまで走行しますと、実際に走行した距離は525.9kmであるにも関わらず走行距離計は600.0kmを示し、実際の距離で600.0kmを走行したときの走行距離計は684.5kmを示すことになります。

この684.5kmを真に受けて50Lの給油をしますと、なんと!見かけ上の燃費が大躍進して13.7km/Lとなり、「なによこの燃費すごい!economyでecologyなdriving-techniqueをmonoにしちゃったな!まさしく!」と錯覚してしまいます。

235/70R16の大きなタイヤの場合、302202回転するまで走行すると、実際に走行した距離は697.8kmであるにも関わらず走行距離計は600.0kmを示し、実際の距離で600.0kmを走行したときの走行距離計は515.9kmを示します。

同じく515.9kmをもとに50Lの給油をしますと、本当は何も変わっていないのに見かけ上は10.3km/Lに落ちたように見え、「この車はハズレでどうたら…このメーカーはこうたら…」などと恨み節を口にしたり、あるいは「ダメだこの車もう壊れそう…早く次の車、できればあの最新型の新車が買いたいな…?」などと、自分に都合のよい解釈をして1人で盛り上がったりしてしまいます。

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