このページでは、2019/05モデルのBP5P型MAZDA3 ファストバック[15S]が装着している205/60R16の純正タイヤを例として、タイヤサイズ変更シミュレーション表の見かたについて記載しています。

BP5P型 MAZDA3 ファストバック
1.5L|111PS/14.9kgm|FF/6MT
[15S]
前輪:205/60R16
後輪:205/60R16

さて、常識的に考えれば外径の変化が小さい現実的なタイヤサイズを例とするべきなのですが、そうしますとさして代わり映えのしない数値を、いかにも重大な真実であるかのように語るという格好の悪いことになってしまいます。

そこで今回は純正比でタイヤ幅-20mm、扁平率-15%の極端に小さくなる185/45R16(外径573mm)と、タイヤ幅+30mm、扁平率+15%の極端に大きくなる235/75R16(外径759mm)のデータを用意することで、針小棒大にせずとも話が進むようにしてみました。

項目の説明と計算式

タイヤ
サイズ
タイヤ
外径
40km/h
実速度
100キロ
回転数
6速ギヤ
最高速
1速ギヤ
最高速
タイヤ
駆動力
最小
TWR
距離計
表示
185/45R16
-20mm
-15%
573mm
(-79)
35.2kmh
(-4.8)
2760
(+330)
217
(-30)
41
(-6)
818
(+99)
1.61
(-0.23)
1033
(+125)
[20.3]
誤差-12.1% 車検△
205/60R16
純正サイズ
652
mm
40.0
km/h
2430
rpm
247
km/h
47
km/h
719
kgm
1.84
kg/kgm
907.8
km
[17.8]
235/75R16
+30mm
+15%
759mm
(+107)
46.6kmh
(+6.6)
2090
(-340)
288
(+41)
55
(+8)
617
(-102)
2.14
(+0.30)
780
(-128)
[15.3]
誤差+16.4% 車検×

タイヤサイズと外径

205/60R16の外径
205mm×60%×2+16in×25.4652mm
185/45R16の外径
185mm×45%×2+16in×25.4573mm
[-79mm]
235/75R16の外径
235mm×75%×2+16in×25.4759mm
[+107mm]

純正サイズの205/60R16のうち、205はタイヤ幅、60は扁平率、16はホイールのインチ数を表すもので、タイヤ幅205mmに扁平率60%を掛けることでタイヤの高さを知ることができます。

次にホイールのインチ数は16インチですので、これに25.4mmを掛けることでタイヤの内径が406mmであるとわかり、さきほどのタイヤの高さを2倍したものを足せばタイヤの外径が652mmであることがわかります。

同様に計算すると185/45R16の外径は573mmで純正サイズとの差は-79mm、235/75R16の外径は759mmで純正サイズとの差は+107mmになり、この外径の差がスピードメーターやエンジン回転数、走行距離計の誤差を生じさせることになります。


40km/h実速度

純正タイヤサイズであっても製品によって多少の外径差はあるものですし、またスピードメーターそのものにも大なり小なり誤差があるものなのですが、それを言い出すとキリがありませんので、ここからはかつて物理の試験で見たような「ただし摩擦はないものとする」的なノリで話を進めます。

205/60R16の実速度
2.05m×325rpm×60min40.0
km/h
185/45R16の場合
1.80m×325rpm×60min35.2
km/h
235/75R16の場合
2.38m×325rpm×60min46.6
km/h

さて、タイヤ外径652mm、円周長2.05mの純正タイヤを装着したMAZDA3 ファストバックが40km/hにて走行するとき、スピードメーターは一切の誤差なく40km/hを示しており、タイヤは1時間に19529回転しているものとします。

この完璧な精度を有した車に、外径573mm、円周長1.80mの185/45R16という小さなタイヤを装着しますと、19529回転では35.2kmしか進むことができないにも関わらず、スピードメーターは自信を持って40km/hであると主張します。

逆に外径759mm、円周長2.38mの235/75R16という大きなタイヤを装着しますと、19529回転では46.6kmも進んでしまうにも関わらず、やはりスピードメーターは40km/hを示します。

「そんな多少の誤差で大げさな…」と思いたくなるところですが、この誤差を生じたままメーター読み80km/hで走行すれば185/45R16なら実際の速度は70.4km/h、120kmなら実際の速度は105.6km/hしか出てない、ということになります。

235/75R16の大きいタイヤとなると話はちょっと複雑で、自分ではメーター読み80km/hで走行しているつもりでも実際は93.2km/h、120km/hでは139.8km/hも出ているという、安全運転的にもお財布的にも心配になるような事態が発生してしまいます。


100km/h回転数

たとえば純正タイヤを装着したMAZDA3 ファストバックが高速道路を6速ギヤで100km/h巡航しているとき、エンジンの回転数が2430rpmであったとします。

205/60R16の100km/h回転数
100/60/0.00205×0.680×4.3882430
rpm
185/45R16の場合
100/60/0.00180×0.680×4.3882760
rpm
235/75R16の場合
100/60/0.00238×0.680×4.3882090
rpm

このとき、2430rpmのエンジン回転数は6速ギヤ(ギヤ比0.680)により増速されて3574rpmまで上がり、ファイナルギヤ(ギヤ比4.388)により減速されて814rpmまで下がるわけですが、この814rpmがタイヤの回転数になります。

で、例によって精巧極まるスピードメーターは「外径652mmのタイヤが814rpmだから100km/hで間違いないぞ。正確だぞ」と表示してくれるわけですが、やはり先ほどと同じく外径が変化することでスピードメーターと実際の速度の間で誤差が生じますので、実際に100km/hで走行しているときのエンジン回転数も変わってきます。

つまるところ、先ほどの40km/h実速度と同じことを別の言い方で言っているだけなのですが、185/45R16の小さなタイヤでは純正サイズ比+330rpmの2760rpmのとき100km/hになり、235/75R16の大きなタイヤでは純正サイズ比-340rpmの2090rpmのとき100km/hで走行していることになります。


1速ギヤ最高速&6速ギヤ最高速

続きまして、上の項目で使ったタイヤ外径とギヤ比に、MAZDA3 ファストバックに搭載されたP5型エンジンの最高出力が発生する6000rpmという要素を加えて、6000rpm時点での速度と誤差について見てみます。(便宜上この速度を最高速度とします)

205/60R16の1速ギヤ最高速
6000/3.583/4.388×0.00205×6046.9
km/h
185/45R16の場合
6000/3.583/4.388×0.00180×6041.3
km/h
235/75R16の場合
6000/3.583/4.388×0.00238×6054.7
km/h

エンジンの6000rpmは1速ギヤ(3.583)によって1675rpmまで減速され、次にファイナルギヤ(4.388)によって382rpmまで減速されます。これがタイヤの回転数となり、外径652mmのタイヤが1分間に382rpm、距離にして782m/min、時速にすると46.9km/hであることがわかります。

スピードメーターは382rpmという回転数をもとに、絶対的な正義として速度を表示するわけですから、やはりタイヤ交換によって外径が変化すると6000rpmでの速度も変わってきます。

例によって185/45R16の小さなタイヤでは382rpmで688m進み(純正比-94m)、時速では41.3km/hとなり、スピードメーターは46.9km/hを示していても実際は41.3km/h(純正比-5.6km/h)しか出ていない、ということになります。

235/75R16の大きなタイヤでは382rpmで911m進み(純正比+129m)、時速では54.7km/hとなり、スピードメーターは46.9km/hを示していても実際は54.7km/h(純正比+7.8km/h)も出ている、ということになってしまいます。


タイヤ駆動力と最小トルクウェイトレシオ

これはもはや数字を使ったお遊びの域なのですが、P5型エンジンの最大トルク14.9kgmと、例として1速ギヤ比3.583、ファイナルギヤ比4.388、さらに205/60R16タイヤの半径0.326mを使うことで、タイヤ接地面が路面を蹴ろうとするときの瞬間的な力の総和を知ることができます。

たとえば205/60R16の場合、車両重量1320kgを719kgmで割ったトルクウェイトレシオは1.84kg/kgm、小さな185/45R16では駆動力818kgmでTWRは1.61kg/kgm、大きな235/75R16では駆動力617kgmでTWRは2.14kg/kgmとなり、「ああやっぱりタイヤが小さいと加速が良さそうだね」というだけの…


走行距離計の表示と満タン法での燃費誤差

「 く ど い ! 」という声が聞こえる気もしますが、純正サイズの205/60R16のときメーター表示に一切の誤差がないとした場合、また17.8km/Lというカタログ通りの燃費で走行できたとした場合、さらに51Lの燃料タンクに注がれた燃料を最後の一滴まで使った場合、その走行距離は907.8kmになります。

この907.8kmという距離は外径652mm、円周長2.05mのタイヤが回転を繰り返し繰り返し、ついに443206回転した結果ようやく到達する距離で、この回転数をもって走行距離計は「907.8km走行した!」と断言するわけです。

例によって185/45R16の小さなタイヤを装着し、同じように443206回転するまで走行しますと、実際に走行した距離は797.8kmであるにも関わらず走行距離計は907.8kmを示し、実際の距離で907.8kmを走行したときの走行距離計は1033.0kmを示すことになります。

この1033.0kmを真に受けて51Lの給油をしますと、なんと!見かけ上の燃費が大躍進して20.3km/Lとなり、「なによこの燃費すごい!economyでecologyなdriving-techniqueをmonoにしちゃったな!まさしく!」と錯覚してしまいます。

235/75R16の大きなタイヤの場合、443206回転するまで走行すると、実際に走行した距離は1056.8kmであるにも関わらず走行距離計は907.8kmを示し、実際の距離で907.8kmを走行したときの走行距離計は779.8kmを示します。

同じく779.8kmをもとに51Lの給油をしますと、本当は何も変わっていないのに見かけ上は15.3km/Lに落ちたように見え、「この車はハズレでどうたら…このメーカーはこうたら…」などと恨み節を口にしたり、あるいは「ダメだこの車もう壊れそう…早く次の車、できればあの最新型の新車が買いたいな…?」などと、自分に都合のよい解釈をして1人で盛り上がったりしてしまいます。

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